ニュース(2021年5月30日:第15号)

むかわ町情報公開条例に基づく会の開示請求に対するむかわ町の回答をもとに、「むかわ竜命名の経過と町民への説明」についての7つの問題点を明らかにするとともに、町の「むかわ竜命名の意図」がわずか4年で破綻に向かっていることを指摘しています

資料

北海道恐竜・化石ネットワーク研究会が『むかわ竜』の通称を使わないよう求めます

化石の里ほべつを応援する会は10月6日に、北海道恐竜・化石ネットワーク研究会宛に、「貴研究会が『むかわ竜』の通称を使わないよう求めます」との要請文を提出しました。
要請文書は、「むかわ竜」の「通称」が、古生物学の精神と化石文化の特徴、自治体行政のあり方に反する「通称」として4つの理由を挙げて、北海道恐竜・化石ネットワーク研究会が、「むかわ竜」の通称を使わないよう求めています。

2020年10月9日 田中弓夫

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お知らせ:「古生物の学者、研究者、愛好家のみなさんにお願いします」

古生物の学者、研究者、愛好家のみなさんにお願いします北海道穂別地区で発掘されたカムイサウルスを「むかわ竜」と言わないでください

ご承知のように、北海道穂別地区で発掘されたハドロサウルス科恐竜化石は、小林快次北海道大学教授等の研究チームによって、カムイサウルス・ジャポニクス(日本の竜の神)と命名されました。
一部で「むかわ竜」とも言われていますが、この化石は元々「穂別恐竜」との通称で全国で親しまれていたのを、むかわ町の行政の一部の人たちが、謀略的なやり方で「穂別恐竜」の通称を使えないようにし、「むかわ竜」に変え、広げたのです。(その詳細は、会が発行している「ニュース13号」に掲載しました)

カムイサウルスを蘇らせた穂別の人たちの功績と歴史を大切にしてください

化石が発掘されたむかわ町穂別地区(旧穂別町2006年に旧鵡川町と合併し、むかわ町に)の人たちはの時から70年以上の長い間、地域が一体となって化石が出る地層に親しみ、1982年には、当時の日本では珍しかった化石に特化した博物館を、専属の学芸員も就けて開設し、「森と化石とロマンの里」づくりをすすめました。
このまちづくりは、海外の研究者も注目し、マスコミでも再三報道され、2018年には、「穂別地区の古生物化石群」が北海道遺産に選定・登録されました。
カムイサウルスの化石は、合併前の2003年に穂別の愛好家・堀田良幸氏が発掘して穂別博物館に寄贈し、「首長竜」の化石として保管されていました。その8年後の2011年、「穂別は幅広い年代の化石が出ていて、生物の生態系解明調査に重要な地区で、穂別博物館は標本の所蔵が多く、学芸員が常駐して学術研究をサポートしており、外部の研究者が安心して利用できる」と、研究のために度々来館していた佐藤たまき東京学芸大学准教授が、「恐竜の化石では・・・」と示唆し、学芸員の櫻井和彦氏(現館長)が、小林快次北海道大学教授に調査を要請したことによって、蘇ることになります。
小林快次教授は、2019年発行の著書「恐竜まみれ」で、カムイサウルスに触れた「ついに出た 日本初の全身骨格」の章で、
「ある学芸員の執念」との節を設けて、櫻井和彦館長の功績を紹介しています。また、2017年4月の北海道新聞記事「発見から14年 コツコツ成果」では、「ボランティアの存在も大きい。穂別博物館などは町内外から人手を集め、掘り出した岩石の中から化石を取りだして磨く作業を手伝う。誰か一人欠けても全身骨格まで到達出来なかった」と話しています。 地域が一体となったまちづくりを進めた穂別地区の先人も含めた住民の方々がカムイサウルスを蘇らせたことは明らかです。  そのため、発掘調査が始まってから2年位は、地元だけでなく、新聞やテレビ、雑誌でも、この化石を「穂別恐竜」の愛称、通称で呼び、報道していました。

元々の「穂別恐竜」の通称が、行政の一部の人の謀略で「むかわ竜」に変えられたのです

ところが、発掘調査が進んで「国内最大級の恐竜化石の見通し」と言われるようになると、むかわ町の一部の人たちが、「穂別」の名を消して「むかわ」の名を付けたいとの思惑を持つようになり、行政上の立場を利用して、町の公報や催事で「穂別恐竜」などの穂別と化石がつながる言葉はいっさい使わないようにし、「むかわ恐竜」「むかわの化石」などと、「むかわ」と化石がつながる言葉を使うようになります。そのようなことを2年間続けた後、2016年12月に、講演会の冒頭のあいさつで、町長が突然「通称をむかわ竜にする」と発言したのです。それまでどこでも言われたことのない名です。  それまでの2年間、通称に関する町の正規の会議は1回もやっていません。通称を検討していることを研究者や愛好家、町民にもいっさい知らせていません。そればかりか、町長の発言を知った町民からの疑問や抗議にはまともに対応せず、ウソの「説明」を文書で流してゴマカシ続けています。 このことに対しては、再考を求める署名が、穂別地区の有権者の4割を超える974人と、私たちの会の呼びかけに応えた全国19都道府県の3029人から町に提出されています。

古生物学と化石文化が地域住民と心を通わせて発展するために重要な問題だと思います

ご承知のように、化石は開発があまり進んでいない土地で、愛好家の手によって発見されるのをきっかけにして、研究者の方々の努力で生物の進化や地球の歴史等の解明と人類のロマンに結びつくことが多く、古生物学では愛好家と地域の人たちの果たす役割が他の学問より大きいと言われています。
カムイサウルス・ジャポニクスを蘇らせた穂別の人たちの功績と歴史、風土、文化は正当に評価し、後世につなげることが大事なのではないでしょうか。それをないがしろにし、話し合いもせずにすすめるする行政の一部の人たちの態度は古生物学と化石文化の発展に逆行するもので、ウソでゴマカスやり方は古生物学と化石文化の汚点になると思います。
私たちは、昨年10月に報道各社に「学名が決まったことを機会に、マスコミの方々が『カムイサウルス・ジャポニクス』の通称を『むかわ竜』として報道するのを止めるよう求めます。」との要請をおこないました。 報道各社でも、カムイサウルスだけの報道が広がっています。

古生物の学者、研究者、愛好家のみなさんにおかれましても、わないようにお願いします。私たちの会がこの3年余に発行した「ニュース」等を同封しました、また、会のホームページ ( http://kyouryu-hobetsu.net )も開設してニュース等を掲載しています。見ていただけますと穂別地区の人たちの功績とむかわ町の一部の人たちの謀略の異常さがハッキリします。
ご覧いただき、ご意見、ご助言をいただけましたら幸いです。

2020年7月20日

化石の里ほべつを応援する会
北海道江別市野幌若葉町45番地82 田中弓夫気付
電話 011-385-8367
palette.plala.or.jp

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